ミスマガフットサル(interview)
ミスマガフットサルレポート
「EL GOLAZO」4/5,6号、4/12,13号に掲載された福永監督のインタビュー。
「ゼロから楽しむフットサル」
「この仕事を引き受けたのは、僕としてはひとつの新しい挑戦ですね。『日本一』しか見ていなかったパラレッズから、初めてボールを蹴る子たちばかりのチームへというのは両極端ですが、フットサルをやったことのない子たちにゼロからフットサルを教えて、それをチームとして育てていくというのは、なかなかできない仕事ですから」
選手として浦和・仙台で活躍、指導者としてはパラレッズを率いて女子フットサル日本一に輝いた福永泰が、昨年6月から芸能人女子フットサルチーム「ミスマガジン」の監督をつとめ、初心者の女の子たちにゼロからフットサルを教えている。
チームは、18人の登録選手全員が講談社「ミスマガジン」に選ばれたグラビアアイドル。華やかな印象はあるが、実際のチームの活動は地味なものだ。選手たちは所属事務所もバラバラ、売り出し中のタレントのため忙しく、チームには拘束力がないため、週2回ペースの練習はタレント活動の合間を縫っての自由参加。2人のコーチは本業の合間の参加となるため、常時練習に出るスタッフはチームマネージャーと監督の2人だけ。
「ミスマガの選手たちは、もともと選手たち自身がフットサルをやりたいと言って始めたわけではないじゃないですか。だから、最初は『フットサルをやらされる』みたいな感覚でくるのかなと思っていたんです。だけど会ってみたら、自分たちから興味を持ってきてくれたし、練習に来る子は自分から積極的に参加して続けて来てくれています。僕は、選手たちにはフットサルを楽しんでもらいたいし、無理に練習に連れてくるようなことはしたくない。自分の意志でそこにいるということが大切で、自分でしているのと誰かにさせられているのとでは、同じ時間の中でも得るものが全然変わってきますから」
登録メンバーのうち、練習に集まるのは5〜8人程度。選手たちの体力や運動能力には大きなバラツキがあるし、体育会系のノリはなく厳しい練習にも慣れていない。だが福永監督は、そういった選手たちにフットサルの楽しさを伝え、チームとして育てていくことにやりがいを感じているという。
「この子たちが日々の生活をより楽しいものにするためのひとつの要素としてフットサルがあればいいし、その中で人間として成長していくために、自分たちでやらなければ誰も助けてくれない『勝負の世界』というものを肌で感じてくれればな、と思っています」
だが、プロの選手として実績があり、フットサルの指導者としても結果を出している福永泰が、芸能人のフットサルを指導することに対して「なぜそんな仕事を?」といった見方をされることも当然あるだろう。
「僕自身、この仕事を引き受けるまではこういった世界に興味はありませんでしたし、自分がやる前は、北沢さんとか風間さんとか、サッカー出身の先輩たちがこういうところでやっているということに違和感はありました。だからそれと同じように感じる方はいるでしょうね。ただ、人と人として接してみれば、この子たちはタレントであり芸能界という世界で仕事をしているけれど、元気があって明るくて試合になれば夢中になる、至って普通の女の子たちです。Jリーガーだって、最初の頃はすごく印象が悪かったじゃないですか。Jリーガーというだけで遊んでいるイメージがあって、そのイメージで一括りにされてしまう。僕は現役の頃それが嫌だったし、でも、人と人として接すればそうでないことは分かってもらえる。だから、イメージだけでなくて中身を見てもらいたいんです。この子たちが真剣にやっている姿を見れば『ちょっと偏見を持っていたかな』というのを感じてもらえるんじゃないかと思うんですよね」
今は競技のフットサルよりも観客もメディアの注目も集めている芸能人フットサルだが、この試みが単に芸能人の大会として注目されるだけで終わっては意味がない。
「ガッタスが初めて公式戦に出場した都大会でパラレッズは優勝しているんです。あの日は、ガッタスの入っているグループだけ早い時間に試合をして、それが終わるとそれまで満員だった観客がほとんどいなくなってしまった。そのガラガラのスタンドの中で僕らは優勝して記念写真を撮ったんです。競技をやっている子たちにとって、それはすごく残酷なことであったし、あの場に来てくれた人が、フットサルそのものに興味を持ってくれなかったのは残念なことだと思います。ただ、そこは本当に地道にやっていくしかない部分ですよね。芸能人の大会があるということが、フットサル界にとって少しでもプラスになればいいし、こういった試みを通じて、選手たちも見ている人たちもフットサルを好きになっていってくれたら嬉しいですね」
ミスマガジンチームを率いて「フットサルの楽しさ」を広く伝える。福永泰の新たな挑戦はまだ始まったばかりだ。
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